癇癪の前に出ているサインとは
- 6月25日
- 読了時間: 7分
突然大きな声で激しく泣き出したり、怒り狂ったり、周りの物を投げつけたりする「癇癪(かんしゃく)」。
発達障害のあるお子様を育てている保護者の方の中には、「さっきまで機嫌が良かったのに、どうして急にこうなっちゃうの……」と、出口の見えないトンネルの中で悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
お出かけ先や公共の場で始まってしまうと、周りの目も気になってママやパパもパニックになりそうになりますよね。
でも実は、子どもの癇癪って、本当に「突然」起きているわけではないんです。
多くの場合、子どもたちは大爆発を起こす前に、何らかの小さな「 SOSのサイン」を一生懸命に出しています。
そのサインに私たちが一歩早く気づいてあげることができれば、気持ちが大きく大炎上する前にストップをかけられることも少なくありません。
今回は、発達障害のある子どもによく見られる「癇癪の前の隠れたサイン」について、分かりやすく解説します。
もくじ
癇癪は「心のコップの限界を超えた状態」
まず最初にお伝えしたいのは、子どもは決して「親を困らせてやろう」とわざと癇癪を起こしているわけではない、ということです。
発達障害のあるお子様の中には、自分のモヤモヤした感情を整理したり、「今これが嫌だ」「これがしたい」と周りに言葉で上手に伝えたりすることが苦手な子がたくさんいます。
また、周囲の音がうるさく聞こえる感覚過敏や、次に何が起きるか分からない見通しの持ちにくさ、不安感などから、日常生活の中で大人が気づかないほどのストレスを常に抱えています。
その小さなストレスが心の中でどんどん積み重なり、本人の許容量(心のコップ)を超えてあふれ出た瞬間が、あの激しい癇癪なんです。
だからこそ、起きてしまった癇癪の激しさだけに注目するのではなく、「あふれる前に、何が起きていたのかな?」という視点で見てあげることがとても大切になります。

これが出たら要注意!癇癪の前に見られる4つのサイン
1. 表情や口数がいつもと変わる
前兆として比較的キャッチしやすいのが、お顔の表情の変化です。
・普段よりも急に顔がこわばったり、目が三角になって険しくなる
・さっきまでおしゃべりだったのに、急に口数が少なくなって無口になる
・逆に目が泳ぐように、落ち着きなく周囲をキョロキョロ見回し始める
大人から見れば「ん?ちょっと静かになったかな?」くらいの小さな変化に見えますが、本人の頭の中ではすでに不安やストレスがマックスまで高まっている状態かもしれません。
2. 同じ言葉や質問を何度も繰り返し言う
気持ちがソワソワして不安定になってくると、同じ質問やフレーズを壊れたテープレコーダーのように何度も繰り返すお子様もいます。
たとえば、以下のような言葉です。
「ねえ、いつ帰るの?」
「これ、まだ終わらないの?」
「これで本当に合ってる?いいの?」
これは単に答えを知りたくて聞いているのではなく、「不安でたまらないから、大丈夫だよと言って安心させてほしい」という切実なサインのケースがすごく多いんです。
先の見通しが持てないことへの焦りが強くなっている証拠でもあります。
3. 体の動きが増えて、落ち着きがなくなる
心の中のウズウズした焦りが、体の動きとして現れてくるパターンもあります。
・椅子にじっと座っていられなくなり、ゴロゴロし始める
・目的もなく、部屋の中をソワソワと歩き回り始める
・手を激しくバタバタさせたり、爪を噛んだり、貧乏ゆすりが増える
本人も自分のあふれそうなイライラをどうコントロールしていいか分からず、体を必死に動かすことで、なんとかストレスを発散しようとしている最中なのかもしれません。
4. 普段ならスルーできる小さなことで怒りやすくなる
いつもなら「いいよ」と笑って許せるような些細なトラブルに対して、急にブチギレたり不機嫌になったりします。
たとえば、おもちゃの順番がちょっと変わっただけ、スタッフやお友達から声をかけられただけ、といったことで強く反発するケースです。
これは、その出来事自体が嫌だったというよりも、すでにコップの水が表面張力の限界まで溜まっていて、最後の1滴が注がれて決壊してしまった状態(最後の一押し)と言えます。

放課後等デイサービスで実践している3つのアプローチ
放課後等デイサービスでは、癇癪を起こしたその瞬間の対応だけでなく、「どうすれば爆発を防げるか」という予防の視点をとても大切にしています。
●癇癪の前の様子を記録して、特有のパターンを探す
私たちは、癇癪が起きた場面だけでなく、その10分前、30日前にどんなサインが出ていたかを細かく観察し、記録に残します。
「学校でたくさん頑張った日のあとの活動で起きやすいな」「この言葉を繰り返し始めたら赤信号だな」といった、その子特有のパターンが見えてくるからです。
これは専門的には「応用行動分析(ABA)」と呼ばれる、とても効果的な支援方法です。
●サインをキャッチした瞬間に、即クールダウン
お子様から限界手前のサインが見られたときは、大爆発するのを待たずに、すぐに先手を打ちます。
にぎやかな場所から静かな個室へ移動したり、本人の大好きなリラックスできる活動をあえてパッと挟んだりして、脳の興奮を落ち着かせます。
癇癪が起きてからなだめるよりも、起きる前に環境をガラッと調整してあげるほうが、本人の脳にとっても負担が圧倒的に少なくて済むんです。
●自分の気持ちを言葉にする練習(SST)
「今、イライラしてる!」「大きな音がして怖いんだ」と、自分の心の内を言葉で表現するのが苦手なことが癇癪の原因でもあります。
そのため、放課後等デイサービスでは、イラストカードなどを使って「こういう時は『手伝って』って言うんだよ」「『ちょっと休憩する』って教えてね」といった、気持ちの伝え方を学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)を日々の遊びの中で取り入れています。
サインに気づくことが、親子を救う最大の予防策になる
起きてしまった激しい癇癪にその都度全力で付き合うのは、子ども本人にとっても体力を使い果たして辛いですし、何より毎日向き合う保護者様にとっては心が折れてしまうほどの大きな負担になりますよね。
だからこそ、「どうやって癇癪を力ずくで止めるか」ではなく、「癇癪の前に出ているサインをどう見つけるか」を知ることが、一番の解決ルートになります。
サインの形は子どもによって100人100様ですが、毎日一緒に過ごし、観察を積み重ねていくうちに「あ、この行動が出たらもうすぐ限界だな」という我が子だけの取扱説明書が少しずつ見えてくるはずです。

まとめ
発達障害のある子どもの癇癪は、決してわがままや意地悪で突然起きているわけではありません。表情のこわばり、同じ言葉の連呼、そわそわした落ち着きのなさなどは、すべて子どもからの「もう限界だよ、助けて!」という必死のメッセージなんです。
放課後等デイサービスでは、そんな子どもたちの小さなSOSのサインを絶対に見逃さず、先回りの環境調整や、気持ちを言葉にするサポートを丁寧に行っています。
「癇癪をゼロにすること」だけを目標にして焦る必要はありません。
「どうしてコップの水があふれちゃったのかな」「その前にどんなサインを出していたかな」を私たちと一緒に紐解きながら、その子に合った一番ラクな関わり方を一緒に見つけていきましょうね。
大阪市 北区/西淀川区 【英語療育・運動あそび】





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