海外の発達支援施設は“家具”から違う?デンマークの事例
- Colorful Kids
- 8月19日
- 読了時間: 3分
発達支援というと「療養プログラム」や「専門スタッフの関わり」などが注目されがちですが、実は“空間”や“家具”の工夫も、大きな役割を果たしてるって知ってましたか?
今回は、デンマークの発達支援施設の事例を紹介しながら、家具やインテリアの観点から見た支援の形について深掘りしていきます。
もくじ
デンマークでは「環境づくり=支援」の考え方が常識
福祉先進国と呼ばれるデンマークでは、「人の支援=人だけで行うもの」ではありません。
「支援=人が人にするもの」という枠にとらわれずに、五感からの刺激を調節できる環境を整えることも大切なサポートの一環と考えられています。
例えば、
・明るさや音の反響を抑えた静かな部屋
・柔らかい素材でできた家具
・高さや形が調節できる椅子・机
など。
色・素材・音・光・空間の広さや配置など、感覚に過敏な子どもが“落ち着いていられる場”を作る工夫が施されています。

子どもに合わせて「家具が寄り添う」設計
日本では、“家具は備品”という感覚が強いですが、デンマークでは違います。
たとえば発達に特性のある子どもが過ごす空間には、こんな家具が導入されています。
コクーンチェア(Cocoon Chair)
周囲の刺激を遮って「安心のカプセル」をつくる椅子。
コクーンチェアは、左右や上にパネルがついていて外部からの視覚刺激を遮断できるデザインです。
まるで繭(コクーン)の中に入っているような感覚になることから、その名がついています。
・人の動きや視線が気になりやすい
・安心できる“自分だけの空間”が必要
といった子にとって、コクーンチェアはその場にいながら「1人になれる」大切なスペースになります。
ハイバックソファ
音と視覚刺激を優しく遮る「グループの中の避難所」。
背もたれの高いソファは、囲まれた安心感を生み出すと同時に、音を反響させにくくする素材で作られているものもあります。
たとえば、グループ活動中に疲れやすい子や、刺激に敏感な子が少し休むための「クールダウンスペース」として活躍。
“その場にいながら安心を確保できる場所”があるだけで、子どもの不安はぐっと軽減されます。
バランスチェア・ゆらゆらスツール
“じっとしていられない”を前提に考えられた椅子。
ADHDなどの特性を持つ子どもは、体を動かすことで集中力を保つタイプもいます。
そんな子のために使われるのが、わざと揺れたり傾いたりする椅子です。
・揺れながら宿題に取り組む
・軽く身体を動かすことで、感覚を調節できる
というように、「動いてもいい」「動いたほうがいい」環境をあえて用意することで、無理に我慢させずに自然に集中力を引き出します。

日本でも取り入れ始めているところも
日本でも、最近はこうした環境支援の考え方が少しずつ広まりつつあります。
例えば、
・照明を暖色系に変更して、青白い光の刺激を軽減
・クッションやパーテーションで空間を仕切る
・素材にこだわった家具や床で音の反響を抑える
など。
「家具なんてただの道具」と思いがちですが、実は子どもにとっては安心や集中を生み出す“支援そのもの”になる場合もあるのです。
まとめ
発達支援は、声かけや指導だけじゃありません。
子供が「安心できる」「落ち着ける」空間を整えることが、支援のベースになることも多いのです。
特に、刺激に敏感だったり、自分のペースを乱されやすい子にとっては、家具が「心の避難所」になったり、「集中できる場」を作ってくれたりすることも。
「関わり方」だけじゃなく、「環境の作り方」でも子どもに寄り添える。
そんな支援が、これからもっと広がっていくといいですね。
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