スペインでは”障害”という言葉を使わない?表現の違いから学ぶ支援観
- Colorful Kids
- 8月25日
- 読了時間: 3分
「障害」という言葉を聞いて、あなたはどんな印象を持ちますか?
最近では、メディアや教育現場、行政の中でも「言葉の選び方」が注目されるようになってきました。
特に海外、たとえばスペインでは、「discapacidad(障害)」という単語はあまり使われずに、より中立的で温かみのある表現に置き換えられているのをご存じでしょうか?
今回は、そんな”言葉の違い”が与える影響や、それぞれの考え方のメリット・デメリットを通して、「私たちができる支援とは何か?」を考えていきます。
もくじ
日本で使われる「障害」という言葉の現状
日本では、行政文書や制度上の表記として「障害者」という言葉がまだ一般的に使われています。
ただし近年では、「障がい」や「障碍」といった表記に変えたり、場面によって「特性」「配慮が必要な方」などと言い換えられるケースも増えてきました。
これは単なる表記の違いではなく、”どう受け止めるか”という”言葉との距離感”にも関わります。
あえて「障害」と呼ぶことのメリット・デメリット
【メリット】
・社会的な支援の必要性を明確にできる
・「障害者支援」「合理的配慮」など制度との接続がしやすい
・差別を”見えなくする”のではなく、”正面から向き合う”という意識につながる
【デメリット】
・言葉にネガティブなイメージが強く、本人や周囲に心理的抵抗感がある
・本人の可能性により「できないこと」に目が向いてしまいがち
・ラベリングにより、無意識の偏見や距離感を生むことも

「特徴として呼ぶ(例:発達特性、支援が必要な個性)」ことのメリット・デメリット
【メリット】
・ネガティブな印象が薄れ、本人の尊厳を守りやすい
・「みんな違って当たり前」というインクルーシブな社会を作りやすい・本人が自己肯定感を持ちやすくなる(特に子どもや若者)
【デメリット】
・制度的支援につながりにくいケースがある(“健常扱い”で埋もれてしまう)
・問題が“見えにくく”なり、配慮や支援が後手に回る可能性も
・社会全体での理解が浅いと、単なる「甘え」と誤解されるリスクもある
スペインや他国の「支援観」から学べること
スペインでは、「能力が違うだけ(capacidades diferentes)」や「配慮を必要とする人(personas con necesidades específicas)」など、より人間的で温かみのある表現が主流です。
これは、「障害を本人の問題として扱うのではなく、環境との関係性で支援を考えよう」という社会全体の意識から来ています。
つまり、“違いを排除しない”という価値観が、言葉に表れているんですね。

支援に必要なのは「正しさ」よりも「思いやり」
結局のところ、言葉の使い方に「絶対の正解」はありません。どんな言葉を選ぶか以上に大切なのは、その言葉の裏にある“思い”や“意図”です。
・「障害」という言葉を使うことで、社会全体が支える対象として明確にする
・「特性」「違い」として表現することで、当たり前に存在する個性として捉える
どちらも、支援を届けたいという気持ちから生まれるアプローチ。大切なのは、相手に寄り添う心を言葉にのせられるかどうかです。
まとめ
「障害」という言葉が持つ力は大きい。だからこそ、使い方によっては壁にもなれば、橋にもなります。
スペインのように、“表現”が支援観を映し出す社会もあります。日本でも、「障害」「特性」「違い」…それぞれの言葉の背景を知ったうえで、誰かを理解しようとする姿勢が広がっていけば、もっとあたたかい支援ができるはずです。
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